今回は、季節ごとの旬を最大限に楽しめる四季ブレンドをご紹介します。このブレンドを商品化するにあたり、特に気をつけたポイントが2つあります。
1.四季折々の旬の食材を引き立てること。
2.四季ブレンドを多めに混ぜても美味しく食べられること。
これらのポイントを念頭に、四季ブレンドの開発に取り組みました。
四季折々の旬を引き立てるために、「春はふっくら」、「夏はさっぱり」、「秋はぷちぷち」、「冬はもっちり」というコンセプトで雑穀をブレンドしています。それぞれの季節に合った「味わい」、「食感」、「粘り」、そして「炊き上がりの美しさ」を追求し、四季をお楽しみいただけるブレンドに仕上げています。
特に、多めに混ぜても美味しく食べられることに工夫しているのには、特別な理由があります。
美味しさは単なる味覚だけでなく、嗅覚、触覚、視覚、聴覚といった五感が関わっています。雑穀を多く混ぜることで、穀物のほのかな香り(嗅覚)、もちもちとした食感(触覚)、鮮やかな色合い(視覚)、プチプチとした咀嚼音(聴覚)が加わり、五感が刺激されて、食事全体の美味しさが一段と引き立ちます。
うま味は甘味、酸味、塩味、苦味と並ぶ基本味の一つです。雑穀には白米よりも多くのうま味のグルタミン酸を含むため、雑穀を多めに混ぜることで、より豊かなうま味を感じられるご飯に仕上がります。
日本人は食物繊維が不足しがちですが、雑穀はその点で非常に優れた食品です。食物繊維を豊富に含む雑穀を主食のご飯に混ぜることで、手軽に食物繊維を摂取できます。
以上3点を理由に雑穀を多めに混ぜることで、美味しさだけでなく、健康効果も期待できます。
特に健康効果に関しては、四季ブレンドに含まれる豊富な食物繊維が大きな役割を果たします。次に、その食物繊維の定義や種類と具体的な効果について詳しく見ていきましょう。
食物繊維は、食物に含まれ、人間の消化酵素では消化できない物質です。そのため、便通を改善したり、腸内環境を整えたりと、身体にさまざまな有益な働きをすることが注目されています。現在では「第6の栄養素」として広く認識されています。
食物繊維には「水溶性」と「不溶性」の2種類があり、それぞれ異なる効果を持っています。
「水溶性食物繊維」の効果:
「不溶性食物繊維」の効果:
四季ブレンドは、食物繊維を豊富に含む雑穀を調合しており、特に春・冬ブレンドは水溶性食物繊維、夏・秋ブレンドは不溶性食物繊維を豊富に含んでいます。
このように、食物繊維には多くの健康メリットがありますが、実際には多くの人が日常的に不足している栄養素の一つです。
グラフのとおり、性別問わず、どの年代も慢性的に食物繊維は目標値に届いていません。また、あるデータによると、日本人の約6割が便秘に悩んでいると言われており、まさに「食物繊維不足が引き起こす国民病」とも言える状況です。
食物繊維を効率的に摂取するには、食物繊維が豊富な食品を積極的に取り入れることが重要です。以下は、穀類、野菜類、果実類の3つのカテゴリーに分けた、食物繊維を多く含む食品のランキング(食品100gあたりにおける食物繊維の含有量)です。
穀類 | 重量(g) |
もち麦(ダイシモチ) | 15.4 |
押麦 | 12.2 |
オートミール | 9.4 |
野菜類 | 重量(g) |
ドライトマト | 21.7 |
生 らっきょう | 20.7 |
生 しそ | 8.9 |
果実類 | 重量(g) |
干し柿 | 14.0 |
生 アボカド | 5.6 |
生 ラズベリー | 4.7 |
また、普段食べている代表的な野菜や果物に含まれる食物繊維の量は次のとおりです。
代表的な野菜・果物類 | 重量(g) |
生 ごぼう | 5.7 |
生 ブロッコリー | 5.1 |
生 ほうれんそう | 2.8 |
生 皮なし にんじん | 2.7 |
生 りんご | 1.9 |
生 キャベツ | 1.8 |
生 皮なし 大根 | 1.3 |
生 レタス | 1.1 |
生 バナナ | 1.1 |
生 トマト | 1.0 |
食物繊維は野菜や果物に多く含まれると思われがちですが、実際には含有量が少ないものもあります。効率的に摂取するためには、食物繊維が豊富な食品を中心に、バランスよく食事に取り入れることが大切です。次章では、賢く食物繊維を取り入れる方法についてご紹介します。
これまでに、食物繊維の効果や日常的に不足していること、そして食物繊維を多く含む食品についてお話ししました。しかし、ただ単に食物繊維を摂取すれば良いというわけではなく、期待する効果によって、食物繊維の摂取源と食べ合わせが非常に重要です。
例えば、糖尿病予防の場合、食物繊維は穀類から摂ることが最も効果的です。特に、白ご飯と一緒に食べることで、食物繊維が糖の消化吸収を遅らせ、食後の急激な血糖値上昇を抑える効果があります。
ちなみに、野菜や果物を食物繊維の主な摂取源として、それらを単品で食べることは糖尿病予防には効果がないとされています。実際、9つの研究をまとめた結果、糖尿病予防に効果があると認められたのは穀物からの食物繊維だけであり、果物や野菜からの食物繊維にはその効果が見られませんでした。
つまり、糖尿病の予防や管理においては、単に糖質が多い穀物(白米など)を避けるのではなく、食物繊維が豊富な穀物(もち麦など)を主食と共に取り入れ、副菜として野菜をたっぷりと使ったバランスの良い食事を心掛けることが賢明です。
食物繊維を豊富に含む雑穀が持つさまざまなメリットについてご理解いただけたでしょうか。四季ブレンドは、白米に多めに混ぜても美味しく炊き上がり、食物繊維の恩恵を存分に受けられるようにしています。
白米に対して大さじ1杯の四季ブレンドを足すだけでも美味しいですが、おすすめの配合割合は3割です。たとえば、2合の白米(300g)に対して130gの四季ブレンドを加えると、3割配合の雑穀ご飯が出来上がります。この割合をおすすめする理由は、体の変化を感じやすく、効率的に食物繊維を摂取できるからです。
一般的に、白米2合に大さじ1杯の雑穀を加えることが多いですが、これだと雑穀の割合は4.8%にとどまり、お茶碗1杯あたりの食物繊維は少なくなってしまいます。白ご飯よりも大さじ1杯の雑穀ご飯の方が健康い良いですが、せっかく食べるのであれば多めに入れることをおすすめします。
白米2合に対する雑穀の配合割合を大さじ単位:
大さじ1杯: 4.8%(15g)
大さじ2杯: 9.1%(30g)
大さじ5杯:20.0%(75g)
大さじ9杯:31.0%(135g)
市販の雑穀ブレンドは、2合に対して大さじ1杯、雑穀割合4.8%で食べられることを想定してブレンドしているため、雑穀を多く入れると食味が損なわれることが多いです。また、外国産の雑穀が使用されることが多いため、雑穀を多く入れると不快な臭気を生み出すことがあります。
しかし、四季ブレンドは、国産雑穀のみを使用し、厳選された原料を使用しているため、少ない割合でも、多めの割合でも美味しく炊き上がります。
四季ブレンドを3割配合にすると、お茶碗1杯あたりの食物繊維量は次のとおりです。
春ブレンド:1.65g 白米比:3.3倍
夏ブレンド:2.79g 白米比:5.6倍
秋ブレンド:2.36g 白米比:4.7倍
冬ブレンド:1.62g 白米比:3.2倍
このように、どのブレンドでも食物繊維をしっかりと摂取できます。日本人の多くが1日あたり2〜8gの食物繊維不足しているとされるため、いつもの白米を3割配合の雑穀ご飯に変えるだけで、不足分を補い、便通の改善などの体の変化を実感しやすくなります。
四季ブレンドは、美味しさを追求し、無理なく続けられる雑穀ブレンドです。1週間、いつものご飯を3割配合の雑穀ご飯に変えてみて、体の変化を体感してみてください。きっと、日々の食事がより健康的で満足度の高いものになることでしょう。
淡桜(awazakura)春ブレンド
麦熟(mugiurashi)夏ブレンド
秋暮(akinokure)秋ブレンド
初霜(hatsushimo)冬ブレンド
最後に、3割雑穀ご飯の簡単な炊き方をご紹介します。手軽に美味しい雑穀ご飯を楽しむことができます。
計量
いつも使っている計量カップに、白米と雑穀を入れます。例えば、2合分を炊く場合、1合分は白米、もう1合分は、半分を白米、もう半分を雑穀にします。これで約2.5割の雑穀ご飯(雑穀量:計量カップの1/4)になります。
洗米
白米と雑穀を一緒にボウルに入れ、軽く水を入れてさっとかき混ぜて洗います。雑穀が小さいので、洗った水を捨てる際には、網目の細かいザルを使うと雑穀がこぼれ落ちません。
水加減
洗米後、炊飯釜に移し、2合の目盛りまで水を入れます。炊き上がりをやわらかくしたい場合は、1合につき大さじ1杯の足し水をする。
浸水
1、2時間浸水させる。水温の関係で春夏はできれば冷蔵庫、秋冬は常温での浸水が望ましいです。
炊飯
炊飯器のスイッチを押し、通常の炊飯モードで炊きます。雑穀ご飯も白米と同じように炊き上がります。
以上で、美味しい3割雑穀ご飯が簡単に出来上がります。普段の食事に手軽に取り入れられるので、ぜひお試しください。
この記事を書いた人
石川 和明
1989年生まれ。石川家三男。Hawaii Pacific Universityを卒業後、IT系人材会社に入社。約10年の人事コンサルティング経験を経て、石川商店へ戻る。精米、企画、営業などを担当。お米と雑穀、仕事大好き人間の一児の父。三ツ星お米マイスター、お米ソムリエ、ごはんソムリエ、雑穀エキスパート、雑穀調合士、千葉県農薬管理指導士。累計炊飯実験数:3,000回以上。
1989年生まれ。石川家三男。Hawaii Pacific Universityを卒業後、IT系人材会社に入社。約10年の人事コンサルティング経験を経て、石川商店へ戻る。精米、企画、営業などを担当。お米と雑穀、仕事大好き人間の一児の父。三ツ星お米マイスター、お米ソムリエ、ごはんソムリエ、雑穀エキスパート、雑穀調合士、千葉県農薬管理指導士。累計炊飯実験数:3,000回以上。